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2014年4月21日 (月)

連続空想劇 アマーレットのパンケーキ sono1・sono2

 

Debon3

宇宙通信ループ で地球の人たちと交信を始めたアマーレット
知らないことしかない・・

2090年頃 地球から科学者 医学者 人間工学などの研究者たちが
次々とこのXYO175星に移住していた
仮想大宇宙トラベラーや広告代理店や関連会社 宇宙宅配便なども次々と出現
この星に滞在するにはおおいなるリスクを抱えるわけだけど・・


デボン・アマーレットです よろしくね
地球の近くのXYO175星にいます
わたしたち家族は大きなカプセルで暮らしています
カプセルは物理的に地表に浮いてるの
何故だかは知らないけどね
でも透明のカプセルだから
パノラマの空や景色がすっかり見えて
今は淡いパープルとライラック色のグラデーション
いろーんな大小のカプセルが並んでて とてもきれい

時々 何人かとワイワイおしゃべりするんだけど
パネルでサークルって言うか 楽しいです
勉強もパネルで受講するの これは少し退屈かも
わたしは絵を描いてるほうがいいな

地球から
こちらJAP・Sayoco カプセルの家なんてかっこいいー 宇宙ってかんじ

パンケーキ作ってみたんだ チョコバナナ味 すっごくおいしくできたよ

どこに遊びに行くの?ミュージアムとかさ

どんなオシャレしてるの?

いつもは何語を使うの?英語とか?

アマーレット
この星には共通言語はないんだけど 大丈夫
通訳機能がセットされてるから
どんな人たちとも同時におしゃべりできるんだよ
それにしても宇宙通信ループはすごく高速ね

地球から

スライドショーおくりまーす

ネコちゃんとかこちらの人気者のロボットとか 画像だいじょうぶかな?

 

   Tyoi        Sippo        Simaneco

 

スライドショーたのしかったよ ありがとう
写真って おもしろいのね
それに地球のロボット かわいいなー
またループしちゃいまーす アマーレット

              Tomo_2  

アマーレットはオペラピンクのウエアーに着替えた
と言ってもブレスのボタンを押すだけ
なんかなー
ミラーを覗き込んでみた
地球年齢で11歳
今まで考えなかったこと
 今日の自分に 日々のことがらに
 戸惑っている・・
なんて変・・・
なんの異変も起きなかったはずなんだ
でも何かが 違う
きのうとは何かが・・

アマーレットー 今日は何をしていたの?

ママー どうこのばら色のドレス

あら いいじゃない お花のようよ

そろそろお食事にしましょう パパも来るわよ

ワーイ 久しぶりに逢える わたしリボン付けよっと

                         Debon100

家族みんなで食事ができるって ワクワクするんだ
そう感じたアマーレットは そのことが嬉しかった

最近アマーレットはよく夢をみるようになった
いつも見ている景色がスライドショーのように繰り返される
ベイビー時代の記憶?
水の中の感触
あったかそうな優しいおおきな瞳
誰なんだろう・・?
何故ここにいるの・・? と甘くささやく声
夢から醒めると きまって
アマーレットは意味のわからない不満と
たくさんの疑問と それから
気分なんかじゃない 重大な不機嫌に支配されてしまう
たぶん憂鬱ってやつ
自分の無知を知ったんだ
ここはほんとは何処なの
何故?何故ここにいるの?
リアリティーなんて なにもない
地球の人が未来って言ってたけど 未来って何・・

やっぱり 調べよう
どうやって?
履歴が残らないようにしてさ

でなきゃ
今すぐにでも
自分のこと大嫌いになっちゃう

 

   Ao180            Aoisora2            

地球から
アマーレットさーん 元気ですか?
わたしたちは卒業記念に旅行しようって言ってたんだけど
形で残せることをすることにしたんだ
でも ぜーんぜん決まらないんだ
いいアイディアないかなー

アマーレットから
いいなー地球に行きたくなっちゃった

記念って記録のこと・・?
こちらは 念願の
地球学の特別セミナーが始まりました
地球にはたくさんの国があるんだね
それにいろいろな人が住んでて・・
わが家には美術書とか科学の本がたくさんあるので
小さい頃から見ていたんだけど
知ってることはほんとにちょっとだけみたい
興味深々です 次の講義を楽しみにしてるの

地球から
記念って 地球では記憶しておきたいことを別の形にすることなんだ
たとえば写真に撮って残しておくとか
大きなアートを創るとか
記憶したことを みんなのために残すことかな
ますます分かりづらいかなあ
お父さんに聞いてみてよ

生の声で通信できる?
おしゃべりできたら きっとストレートに楽しいよね

お父さんに聞いてみる・・それは考えてもみなかったことだった
地球では”みんな”って考え方をするのかも・・・
でも たぶん聞かない ループのことはシークレットにしたほうがいいから
たぶん ね
アマーレットのこの”たぶん”は純粋なキッズの賢い予感だった    つづく

 

地球学の特別セミナー
45億4000万年前±5000万年に地球が誕生
それからいろいろあって3億年前には爬虫類が出現
大好きな恐竜くんたちが張り切っていたのは1億年前
けれど突然のように居なくなった・・何故
只今協議中
それから 約50万年前に北京原人 約23万年前にはネアンデルタール人が出現
約10万年前 ホモ・サピエンスがアフリカから全世界へ出発
いよいよ人間の登場です・・
とティーチャーはペラペラと早口で
たいした解説もしないでつまらなさげにしゃべっていた
 
アマーレットはボーとしていた
まるで判らない からだ
”想像力の欠落ね”
ティーチャーがニコニコと言ってる
想像力の欠落かー それは何ですか・と聞きたかった
想像力=イマジネーション 言語としては理解できても・・
次はこれを見ましょうとティーチャー
楽しいわよ 具体的な想像ができると思いますよ
パネルに巨大な恐竜たちのシュミレーションされた映像が映し出された
あまりの迫力に アマーレットたち受講生が
ワオーと大きな声を上げたんで
一匹の恐竜がぎょろりんとこちらを見た
ヒャッ・・
アマーレットの声は拡散してそこら辺にパラパラと舞い落ちた(3/16のその1)



結局卒業記念は水族館に出かけることで決まりだった
見てみてー ドバイの水族館 すごそー
えー どーどー ワー
沖縄は・・大阪もよさそーやでー・・
ネットを見ながらみんながわいわいやってる中で
ひとり 浦島君はポッツリしていた
茜が気づいて ねえどーしたの と声をかけた
うん やっぱーさ もっと近いとこでさもっと小さいとこで・・
もごもごしてる浦島君 
じゃ何処?・・そうだ湘南はー 電車乗ってさ 
どうやらそれぞれイメージが盛り上がった らしい
そういえば行ったことない
夕陽見れるかなあ 行こー行こー ジャンプアップー
駅からはすぐそばらしいし
帰りは・・と計画好きな何人かが調べてると
ねえ 集合時間だけ決めてさ あとは成り行きってどう?
あっ それいい 気まぐれ的卒業旅行って いいかもー
いいとかばっか言ってないでさ で いつ?
たったこれだけのことを だらだらと時間かけても それが楽しいのだった
センセーどうする?誘おうよ お子さんも一緒にって・・

  ・・・ クラゲ ・・

球体の水槽でクラゲたちがドキドキしながら踊っている
リズミックって感じよね 誰かが声をひそめて言う
一緒に呼吸してるよ
僕は動けない
何かを思い出したいのに
水槽は青い光の中で宇宙になってた
形の違うクラゲたちがフワーシュワーと
スマートに
思い思いの方向へ向かって
浮いて行く 泳いでいく 
僕は動けない
何か・・
チェッ カッコイイ良すぎだよー と平温な声がした
新体操やってる巧だ
クラゲ・の周りでみんなの時間が止まってたらしい
浦島君が”くらっちゃいましたね”と静かに言ったんで
やっと時間が本気で戻って来てくれた
”ガッツーン”圧倒的に負けてるよなー

待望の夕陽は遠くに居たけど
海風の中 歩きながら われらは少しずつなにかがほぐれ
気まぐれ気分になっていった
カフェとかに行こうよ
お腹がグー
写真撮ろうよ
ねえねえ アマーレットにループしちゃお
フッ 
僕は思い出した
オーバーヒートした空想劇の続き・・
はじめに見た偉大なる魚たちはどうしちゃったんだろ(3/17のその1)

それから・・・・

                 Men13

2090年からたった10数年後 22世紀のはじめ 世界は不思議になっていた

”国”意識が人たちから全くなくなり
何かに駆られるように 別の場所へ移動を始めていた
翻訳チップのおかげで言語の壁がなくなったため
固定的な思考・ライフスタイルを変えたくなったのだった
コミニュケーションがスムーズになって
ネットでのお家交換 ワーク交換が進み
人々は気軽に移住し転職し
それはハイスピードで大ブームとなった
国の機関は対処できなくなり
その関係者もワーク交換する者が増え
このアグレッシブルな現象に
どの国の政府もパニックをおこしていた
”機能”という言葉を忘れていた
革命家と言ってた者たちは何が革命かが不明になり
時代はすでに変わった事にやっと気づき
新しい次の自分探しを始めた
グループは自然消滅・・突発的なほんの小さなファイアーは起こったが
生きるという自分の大きなテーマを思い出したのだった
国の領域は消え 世界地図と同じになった
”国”は”地域”になった

職場では毎日のように新しいメンバーで仕事をし
でもなんら大きな問題もなく
世の中は平然と新鮮で活き活きと元気だった
誰もが本人確認のスルーカードもしくはチップを持ち
どの地域にでも移動できた
実はその雑多な面倒くさい事務処理は
機能性の高いロボットたちが簡単にこなしていったから・・
相変わらず豊かな者たちは高額のタックスを収め
人たちは当然・ 個性と自分の方向性を持つことができた
デフォルメされた個性 主張していい意識 が人たちを解放したのだった
地球が広がったから・・
おもしろくなってきたから・・
予想以上に地球外移住する人は一部でしかなかった

する事がわからなくなった政治家は途方にくれ
ホワイトボードの前で歴史家になり または哲学を学ぶ学生となっていた
またはオペラ歌手を目指す者もいた
それでも世の中は前よりうまくいってた
配達人のために
旅をする者のために
国も都市も名前だけは残された

もはや会議やディスカッションは流行らなかった
ただただ地球の存続のためにだけ人たちは努力していた
もくもくと
今日と明日のために
ロボットと研究者たちと芸術家たちが先頭になって

もう人種が問題でない時代を迎えるところだった
地球をなんとかしなくては・・
”理想と本気”が生きるリアリティーをもたらしていた
 人たちは 賢くなって  生きた

 

連続空想劇 アマーレットのパンケーキ sono2   

  青い空のある
 藍い海のある
 蒼い草原のある
 翠い山のある
  街と人のいる
 地球のある場所
 音之 憂は自転車で旅をしていた どこまでも
 彼はこの着々と混在して行く時代と自分を確かめたかった
 ”僕が絵描きじゃなくても
 自分にしかできないだろう事を見つけたい” 
 
 最初は撮った写真を友人たちに送っておしゃべりをし楽しかった

                       Jiten2

 そうじゃないんだ そーじゃないんだった
 そっけなく突っ立てるスチール製の
古い時計台の所でのろのろと自転車を降りた
 考えてみると
 どんなものも
 マーケット・パーク・ミュージアム・ハイウェイ・ステーション・
 世紀を越えて
 21世紀までに造られたものがまだまだ使われている
 ”不思議はないのさ”
 ”古代文明の建造物だって保存されているんだから”
 見上げた時計の針は止まっているようだった
  俺 疲れた・・
 描こうと思って出した画材だったけど
 彼はいつの間にか眠っていた

                                Berute

ハーイ 風邪ひいちゃうよ

ウムーン・・なかなか目が開かないでいる憂に
 保温シートを掛け直しながら
 いいから 一度起きて飯喰えよ
 男の手には大きなピタパンと
 ・・アーいい匂い アー
 このスープもオリジナルだよ
 君一日中 三日間寝てたからさ
 憂は寝とぼけたまま 少し起き上がり 食べ物を受け取った
 シートを背中からかぶり直し あらためて男の顔を見た
 やっとお目覚めだね
 もじゃもじゃの金色の縮れた髭の中に
 キラットした瞳と
 ワハハと笑う顔があった
 あいさつをする間もなく
 彼はもう一度 いいから喰えよ 旨いぞっ
 スープを 一口 もう一口
 猛烈に腹が減ってきた
 バクバクと喰った
 息するのを 忘れてた で喰った
 呆然と した
 もったいなかった これはおいしすぎたのに
 男はベルテ
 東ヨーロッパ辺りから移動して来たらしい
 というのも ここに住むか決めてないと言った
 ようは何処に住み着くかは気分らしい
 よかったらさ 今晩は俺ん家に泊まれよ
 彼女と話してたんだ
 救出してあげようって・・ワハハ
 憂は ハーとなんかのため息と満たされたため息をつくのが精一杯で
 反射的にウン ウンうなづいていた
 ベルテの家までの自転車はズーンと重かった
 途中から ホレホレと
 積んだ荷物と憂は 長身のベルテに押されて
 君たちは 象のように重いとか言われながら やっとたどり着いた

 

           Tent1_2

   よくわからないけどきのこのオバケの中に入った そしてただ眠ればよかった

    ベルテの家で

 

    XYO175星のこと

宇宙通信ループ で地球のたくさんの人たちと交信していたアマーレット あれから10年
たった10年の間に このXYO175星は
予期せぬ事態になっていた
地球の研究基地としてつくられたため 地球依存のまま 総括するリーダーはいない
XYO175星にあこがれる若き研究者はまだまだいたが
リアルな情報は地球には届けられていなかったし
地球の変化もここでは理解されなかった
インフォメーションセンターでは いつの間にか 地球に送るためだけの情報を作っていた
何故かは 誰も気にしなかった
次の定期便で帰るからだ
ワーク交換が待っている
何かが 待っている
不思議ランドは壊れ始めていた・・・

すでにその数年前にアマーレットは地球に戻っていた

     ・・ローリーの登場

僕が寝ていたのはカンガルーのポケットのようなオレンジ色のハンモック
ベルテ家の室内はいい匂いがする
いろーんな夢を見たような気がして そして目が醒めた
鼻のとんがった犬が僕に寄りかかって寝ている
クリーム色のむじゃむやの毛はベルテと同じだ
”デュウー”の一声で犬はピクっと立ち上がった
うながすように僕を見たので僕も起き上がった
今の僕には時間感覚は ない
けど 夕方のような陽を感じた
デュウーは尻尾を大きく振りながら
ベルテの肩まで伸びをしてペロっと顔を舐めた
うーんいつでもかわいいやつと言いながら
彼は何度もデュウーにキスをした
ベルテのくったくのない笑顔に
ベルテさんありがとう と僕がお礼を言うと
ノーノー ベルテって呼んで・友達だろ
今彼女も来るよ
デュウー とベルテが言っただけで
床でごろっごろっとして遊んでたデュウーは起き上がって
控えめな小さな声でクオーンクオーンと吠えた
ほんとに思いやりのあるデュウー
しっぽをゆらゆら振りながらベルテのそばに行って
嬉しそうにベルテの顔を見上げるのを僕は見ていた
ここは無邪気 だから居心地がいいんだ
ボンソワー
やあローリー 会いたかったよ
ふたりのやりとりを聞きながら
実は僕は何かを思い出そうとしていた
あ あの僕 憂です あ ありがとう
ローリーは美しかった
薄い布のショールが似合ってた
ふふ あなたは何処をうろうろしてたの?
こんなによれよれになって・・
ねえ とくっついたままのベルテにはなしかけた
あっ
僕は急いでカメラを捜した
ベルテ ベルテ これ見てよ

ローリーの登場で憂はすっかり覚醒したようだ

ばーっと見てよ なんかさとにかく クイックリー
僕の目は異常なくらいギラギラしていたんだと思う
つられるように三人でたくさんの写真を次々と見ていった

                            Roly2

     ・・・ミステリアスを探索

ローリーの登場で僕はすっかり覚醒したようだ
ベルテ ローリー 僕 そして毛むくじゃらのデュウーは ずーと写真に見入っていた
そして 僕の記憶 写真の記録の中に発見したものがあった
”あれ 似てるなあー・・この女の子とこの女の人と・・似てると言うより・・
だし これいつ撮ったんだ 日付は・・”
ゆっくり見直すってしなかったからさ と僕も覗き込んでみてハットした
やっぱり・・
わー見て この子また居る
ウーン 場所がぜんぜん違うみたいだけど 妙だな
思い出してきた あのシーンこのシーン
回想しながら 僕は少し早口で言った
スケッチしてると人が集まってきて その中にいつもこの女の子が居るような気してたんだ
そうなんだよそしてさこの子すぐに居なくなるんだよ あれって間に
そうなんだ やっぱり気のせいじゃなかったんだ
デ・ジャ・ヴじゃなかったんだ
”すっかり忘れてた”
ベルテは髭をもしゃもしゃと触りながら
”ウーン なんともミステリアスな”の一言をつぶやきながら
腕を後ろで組み部屋をぐるぐると歩き始めた
付いてまわってたデュウーはあきらめて床にゴロンと横になって退屈そうに目を伏せていた
ローリーはまだ写真を見ていた そして
いいこと思いついた ねえベルテ ムグに見せようよ
ムグ・・?あっいいね そうしよう ベルテは旋回するのを止めて近寄ってきた
僕はまだボーと記憶を辿っていた
ベルテはどしっと僕の肩に手を乗せて
”ムグってさ不思議なことを解明するのが得意な奴なんだ”
力強い彼の声に 憂の目は子供のように部屋の中を浮遊
今もう連絡したわ とデュウーは写真を見ながら言った
オッケイ 彼が来るまでちょっと頭を整理しようか
そうだ この画像をもっと見やすくしてみよう
ベルテは何十年も前の古代のパソコンだよとおちゃめに言いながら
ペラっと薄いノートを持ってきた
これがパソコン・・ヘエー
白くてシルバーで 僕は綺麗だなと思った
いいだろこれ 昔の人はすごいよ かっこいいし まだ使えるんだからすごい
それにしてもこの数だ 面倒だけどとにかくやってみよう
手間かけるぶん 後が楽ってもんだ・・
ちょっと自信ないなー 断然コピーしてっ とベルテ
マニュアルを時々見ながらそれでもピッチを上げてデーター処理していくんで
憂の足跡 思い出日記がモニターからどんどん噴出 拡散
たくさん撮ったんだ・・と僕自身をびっくりさせた
本人が驚いてるよ と少し手馴れてきたベルテが目くばせをした
時々デュウーのいびきと寝言がして三人を笑わせた
それ以外は 古代のパソコンを操作してる音だけになった
憂は交代するチャンスがなかった

                       Mugu                                        

ムグの名前はムグルヴィッチ-スタート
ぎょうぎょうしいボリュームの頑張ってる髪型
いろんなもの レースだのフリルだのブローチだのがくっついた長いガウン
をばさっと羽織って登場した
とんがったでかい靴 持ってるだけの紫色のグローヴをひらつかせながら
大昔の貴族の肖像画のように 澄ましている
”髪型 いつもそうしてるんですか”と
真っすぐこっちをみているムグに質問をすると
ホとハの間のような声で笑った
彼は弦楽器を作ってそして演奏者として活動している
目立つように いつでもこうしてるんだよ
でも 深い翠色の瞳は思慮深い感じだ
キラッと光る彼の翠い目は 躍動的でそして暖か・・・・・
魔法使いかと思いたくなるようなへんてこな格好と 怪しいムードのムグを
僕はひと目で好きになった
僕はちょっとブレイク気分になりそうになって
自分でもおかしかった 緊張感がすーっとなくなったから
ムグはおしゃべりしながらも パソコンの写真を真剣に見ていた
頭の中で”鍵”を見つけるんだそうだ
”情報の中をぐるぐる廻ってみるのさ 何度もね”
そもそも人間の頭脳はすばらしく上出来なのさ
ピーンときたらそれが鍵なのさ 当たり前だけどね
バット 鍵があればドアは開くがー
どのドアにフィットするか・・その謎を解くには・・
しばらく時間を待って 思考する必要がある だろ
時間は”答”を提示するんだよ・・”
が 記憶が塗り替えられないうちにとっとと確認しなくては・・
頭脳はいつでも新しいデーターを待っていて
次々コピーアンドペーストをやって別々のファイルにストックしてしまう
ファイルのインデックスがなくてはなかなかファイルを呼び戻せない
おまけにファイルは頭脳の管轄だから こっちは困る訳さ
まあ そんな記録は一応疑う必要があるんだよ
変色してる可能性だってあるかもしれないからねえ
記憶となるとさらに怪しいってことさ
本人自身の都合と願望がプラスされるからね
頭脳と本人のコラボ版が記憶になってしまうんだ
”さてと 君のためにも みんなのためにも ブレイクタイムだ”
ということになって パソコンと格闘してたベルテが
”ローリーちょっと疲れてきたね 休もうよ”と声をかけた
ベルテのサポートをしていたローリーが いつの間に作ったのか
ふっくらと焼きあがった丸いパンとコーヒーを持ってきた
あたりはおいしい匂いに包まれ デュウーはしきりにクンクン言ってる
デュウーは憧れの人を見るように ローリーにくっついて
みんなの笑いを誘った
ムグは邪魔そうに前髪をあしらって おいしそうにコーヒーを飲み始めた
彼のどの指にもゴージャスな指輪が光ってた
その長い指は 話をデフォルメするにはぴったりだ
あの子が似ている もしくは同じ子だという根拠が必要だね
仮に ”直感的にそう思っただけだ” と否定的に考えてみよう
あら それだったらあるわよ 彼女小さなペンダントをしてるわ
ムグもそれには気づいていたようだけど
ん まあまあ 今はあくまでも否定してみよう
もしかしたらそれがパスワードなのかもしれないけど・・
”時として直感は危険だ 先入観でもあるからね”
ベルテはデュウーにパンを分けてあげながら
憂のフォトは滞在場所が判るからそれヒントだよね・・・
本物の地図見ようか・・とぼろぼろになった地図を出してきた
珍しいでしょ こんなの 見たことある?
ローリーにううんと返事をしながら
僕は 旅してきた距離を改めて実感した
ここからここまでかー
小さなドラマのある路だった
あらっ ここいいわね 静かそうな街ね・・
謎を解く前の 回想の時でもあった


ムグルヴィッチ-スタートの提案で
ムグと僕は町のクロスという交差点に 今からでかけるんだ
さあ 出かけよう!
僕はあっけにとられた バージョンアップしたムグ
”グレート 一段ときらびやかね ミスターゴールディ!
これでは誰もが集まるわね”とローリー
”そおー ホホ 憂どの 一緒に行ってくれるんでショーねえ”
わざと意地の悪い素振りで言うんで”それはもう喜んでご一緒致すよー”と返した
僕はこの格好でいいのかなあ
君は絵描き ワタシはねえ 今日は存在だけのヤツなんだもの これくらいしないとねえー
うそだよー 楽器は 何処?
ムグは金色のガウンの中からウクレレみたいな赤い楽器を出してみせた
どうやら試作らしい
ちょっと不安だけんど・・心配しないで 大丈夫だから
と 実は不安なのは僕さとばらしてるようなムグの顔は相変わらず毅然としてた
ベルテ いつだって一緒のデュウー それにソルトさん   おしゃれしたローリー
まるで劇団だ
このきらめき楽団 5人と一匹の犬デュウーは目的の場所へと出発
少し大袈裟じゃなーい。

          Yuu2

ここはゴルゴンゾーラバク

光輝く白い場所という意味は昔の話で 今は”白い土の上の街”のイメージはないけどね
ソルトさんは続けて だから僕がソルトって訳・・じゃないよー・・・
気候の変動でここにあった白い砂はユーラシア大陸を一巡り コンロン山脈、アルタイ山脈に撒き散らし
残りはどっかにぶっ飛んでさ 行ったんだとさ・・ と話をしてくれた
クロスにはたくさんの人たちが散歩に出てきてて パーラーやカフェが賑やかだった
ムグの知り合いというよりファンが何人か集まって来た
ワーすごーい ムグさん 今日は何かやるのー
とムグの派手なキンキラのガウンを触ったり フォトを撮ったり 大変
ライブペイントを そうそうあの彼がやるんでくっ付いて来たんだよお 
とムグは少し愛嬌を振りまきながら
何処でやるかな・・ときょろきょろしていた僕を紹介した
やあソルト君! そこにでぶっちょのおやじさんがやってきて 
ベルテさんと友達だって知らなかったよ
彼はずーっと前からここに住んでて”ここはどうかね? いいとこだろ
・・居たいだけいればいいのさ・・”
それにしても 自転車で旅をするなんぞ たいしたもんだ と僕に握手した
ふっくらした暖かい厚い手だ
何かあったら言いなさい 少しは頼りになるはずだから・・
えらくアンティークなはち切れそうになったチョッキ
ポケットから出された四角のマスタード色のカードが”ネリンおじさん”と告げた
僕は最先端のこのカードにもついおじぎをした
高く伸びた木の下で 僕たちが準備を始めていると
”やあソルトに聞いてさ 参加できるかな?”
やあ もち歓迎だよ 今日はウクレッタの初ライブ・・
ひとりじゃつまらないって考えていたとこざんす
ヘーエー ウクレッタ?あっこれ・・小さいんだね
うーん チェロも持ってはきたよ が ウクレッタでやってみたいのさ
もひとり呼ぼうか と言ってると”ワタシじゃだめ?”
ムグも僕もベルテもローリーも みんなあっけにとられてピクリともしなかった。

              Gal10c

目の前に現われた大きなリボンの女の子 僕と僕たちはあっけにとられて ピクリともできない状態に陥った
何故って 右手のお皿には20段ものパンケーキが高く積み上げられ
だれもがとっさに手を伸ばしたくなる程おいしそうなのだ
”それぞれコンテンツの違うパンケーキのサンドウィッチ”
とろーりとクリームがとろけ出てたり
ハムやフルーツがどっさりサンドされてたり
チーズたっぷりのきのこのオムレッテ
そのうえ 溶かしたチョコレートがナッツとトッピングされてるんだから
もうたまらない
ウフームあまりにも甘いいい匂いがするではないか
と言ながらムグはぱーっと女の子に近づいて
いたずらげに”どーれっ”とろけたクリームを小指でちょっとすくって舐めた
まあーなんてこと!これはすごくおいしいわよー 
高級で絶品で・・・ワタクシどものミュージックとお・おーんなじじゃござんせんか・・
僕はもうスケッチを描き始めていたけど
食いしん坊が邪魔しそうだ
ソルトはにこにこと楽しそうに音の調整をした後少し演奏し始めたものだから
僕がパッパっと急いでラフスケッチをしている間にも
わいわいと集まってくる人が増えて より賑やかになってきた   

ムグの口上はさらに人の好奇心をあおっていた
みなさまー 今日の日は絵描きの憂と僕らのコラボアートをご賞味くださいー
最後までお付き合いいただきますと・・このオーロラ姫のハンドメイドパンケーキ
たっぷりとはいえませんが なんと味会うことができますよー
僕はベルテに手伝ってもらってライブのセッティングをした
”でっかいなー” そう僕のとっておきの秘蔵のキャンバスなんですよ
ムグのウクレッタ チェロに似た音の大きめの弦楽器を持ったソルト
そしてローリーは音色の違ういくつかの鈴を振りながら
優しい暖かい声で楽器のように奏でた
集まった人たちだけじゃなく 僕らも十分うっとりしながらのパフォーマンスだった
ムグのウクレッタは大活躍をした みんなのグルーブはいい感じにまるくなったから     

     広場にでかけてきたのには 実は理由があったはず
     ペンダントの女の子を捜す・・・・・
     青色の大きなリボンの女の子の出現ですっかり調子が狂っちゃった・・
     僕は 不思議なことにどっかに行きたくなってしまった
     たった 数日しか経ってないからか
     こんなに楽しいことばかりなのが 自分を不安にさせてるのかもしれない
     意味もなく先を急ぎたいような気がしてると
     君はせっかちだな と察しのいいベルテに言われてびっくり
     ペンダントの女の子を忘れるってのも妙案だぜ
     だって憂が捜してるのは もっと違うんじゃないのかな・・
     ここに落ち着かなくていいんだし トラワレ人になるなよな
     ゆっくりフラフラ自転車旅行 まボヘミアンだな
     本当は地球人みんながボヘミアンってわけでもないのさ・・
     ベルテはどっかシリアスに今と未来を見ているようだ                                       

                                                   Nerie2

ムグルヴィッチ-スタートはウクレッタを奏でながら

すこぶる上機嫌でこんな詩を歌った                                                    

              Amsbaby2

  風はささやく

 もし 満月がいなくなったら
 星は まばたくのをためらう?
 でも もしかして
 今度の再会の時が12夜でも
 みんな悦んで出迎えるのさ
 いつだって
 満月じゃなくったって ムーンベイビー
 欠けた横顔に 雲が漂ってたとしても
 優しい歌声 いい夢を
 いつだって崇高に美しい
 風に乗ってムーンベイビー

 風は歌うんだ
 嵐に乗ってボヘミアーン
 もしあなたがあの子をみかけることがあったら
 ぼくのとこへ
 彗星に乗って
 やって来るでしょ
 オーロラの夜に
 ノクターンを供に
 この地のどこかに
 舞い降りて・・ムーンベイビー

ムグルヴィッチ-スタートは続けて・・
僕はみんなが 大好き
どこのみんなも大好きさ
こころを合わせて 一緒に歌おー
砂の街でも 氷の街でも 水の街でも
このすてきな星の どこにいても
オーロラの夜の風に乗って・・ムーンベイビー
オーロラ色の ボヘミアーン・・・

間をおいて 感動の拍手・・言葉はくじけなかった
・・ムーンベイビー・・
この詩のムグのメッセージは 風が愉しそうに歌いながら 遠くまで 遠くまで運んでいった

 ・憂は偉大なるたいせつなムグのメッセージに心打たれた・

         

Mugu2by

 

 

ムグルヴィッチ-スタートのメッセージは 風が愉しそうに歌いながら 遠くへと 遠くへと運んでいった

憂は 風の去った方へと向かった
ベルテの シリアスに今と未来を見ているような遠くを観るまなざし・・・
楽しかった時間と ムグに手渡された赤いウクレッタ・・
ストックされたままのあの謎と 別の謎 彼自身の・・・
何故行くくのかいとでぶっちょの紳士は問う
ハハハホ ムグが笑いながら ノープラン ノーワイフ ノーリアリティー
まるでこのムグさまとおんなじ・・
でもこのかたスタイルは持ってるのよ 空想科学というマイブックを内臓して
誰に媚びることなくスタスタっと・・・ね
真っ直ぐ・・すこやかボーイ
すこやかさん ウクレッタとも仲良くしてあげてよね
次に逢った時 コラボしちゃいましょ きっとだわよ
すこやかさんはムグさんのほうなのに・・・
わちきは君のえがいたあの絵大好き 家宝だわよ
ムグはライブの後予想外の小判をホイっと出したのだった
そして今日の彼は 別れはひとときのこと と言うとくるっと背中を向けて
すたすたと行ってしまった
遠くからアディオース と後ろ手に手をおおーきく振った
そのまーんま 生きろー
ミスター・ドラマティックムグ
憂は自分の主となる自分すら突き止めてはないのだ ここのおとな達に知った
僕の知らない僕を いともあっさりと・・・
気落ちしてるわけではない
明日が待てないのだ たぶん
僕の明日を速く見たいのだ たぶん
あしたを積み重ねて今日を重ねて・・
ア そっか まるであの子のパンケーキみたいだ
あの子 何処に行ったんだろ

Bill20

どのくらいかな 随分と走った
今までなかった景色 巨大なビル群が少し先にあった
マップに載ってたかな・・
重いキャンバスがなくなったので 荷物が軽い けど
ちょっと休もうとしてると後ろから ドドドーとすごい爆音
振り返って僕はびっくり
自転車の3倍くらいのでっかい2輪車から降りてきたのは
ソルトさんとムグー
やあ 憂君 ボンジュー ベルテとも相談したんだよ
ここはさ 100年前の未知数の街 もともと危険なんだ かなりね
おまけに嵐がくるかも知れないんだって
追いついてよかったよー ほんとに 心配でさ
ムグはベルテに借りた妙な帽子を深々とかぶり直した
目が少し潤んでたんで 僕はベルテにありがとうを・・言えなかった
声にならなかった
ソルトさんが この人おかしいんだよ と言ってにこにこしてる
こいつの3原則は 突然 唐突 そして戸惑いの3Tなんだから
あーら いいでしょ わたくしの勝手ざんす
でも どーう 憂君 これイカシテルでしょ
ベルテ家にはお宝がザクザクよ
PCといい 変なのは奴のほうだよ
このエリアは一緒に通過しようよ ベルテのコレで
僕ごと 自転車ごとベルテのコレに乗って
ほーれ 行くぞよー
うるさいのはしょうがない ”助かるよー”と言ってもかき消された
しばらくして そこで見た光景は
巨大ビルディングの街 半分は白い砂に埋もれた 廃屋の街だった
見てたいのは分かるけど ぐずぐずしてられないみたいだ
猛スピードで抜けるからね しっかりつかまってー
ビルの谷間は光が遮断され信じられないほどの暗さだ
しかーし この道くらいしか通れる道はなさそうだなー
憂君ー 大丈夫かあー
僕は足が震えるくらいだんだんこわくなった
覚えていたくないくらいの恐怖を感じ始めてた
目をつむって ガッシと掴まって ウウー
何十分走ったのだろう
爆音 沈黙 狂気・・
まるで出口のないトンネルの中だ
永遠に続くというイメージ・・
もういやだーと言いそうになってたら 急に辺りに明るさを感じた

Sabakumen2s

憂君 パラダイスにご到着ーだよー
こわごわ目を開けると 何ここ なんとかパーク?
驚きと快挙
良かった
車は大逆転の光景の中で止まった
そして見ると 車も僕たちも埃まみれだった ひどいもんだ
お互いの様子に安心したが でも
30分の爆走で全エネルギー喪失したようだ
人間も車も ガクガクとへたばってしまった
無口な静寂が狂気を吹っ飛ばしたようだ
3人とも冷や汗でびっしょり・・フー
僕はやっと正気になって気づいた
ねえ ふたりは戻るんでしょ
ワハハ さてと・・こわかった だー
帰る・?そんな それはむごいこった
ソルトさんが彼らしい言葉で喋ったので
ムグも変な帽子を脱いで ハアーと深く息をして
開放されるとはこの事を言うんだす・・ホホハ
僕たちはこのビッグパラダイスパークで ”祝 開放ランチ”にした

Sabaku10b

こういう無人のレストランはなかなか珍しい・・
それに客も居ないときてる うーんー
”ご注文カードをお入れ下さい”と壊れかけた機械的な声がしたので プーと笑いが出た
それでも こんな時の暖かいコーヒーやビーフシチューは嬉しかった
あのー 無謀ってこのことなんですね。
謝るひまはなかった
僕の頭はふたりにぐしゃぐしゃにされ
今日のは自由参加だから ま いいってこと
とソルトさんは暢気なことを言った
車はベルテが改良を重ね どこまでも走れるらしい
しっかしヤツは天才だね
それでも 僕はますますふたりの帰りが気になって来てた
何もできないのに・・・頭の中のイルカがやっとおしゃべりを始めた
ここは人が少ないなー 居ないと言ったほうが正解かな
来たことないからなー
会話が止まった
あのさ 突然だけど 3人で戻りましょう
ええーっ どうかしてなーい
うん こっち方角悪いんです 今さら  だけど
ううん きっとそうです
だって僕ひとりじゃ あの巨大ビルの一角で固まってましたよ
明日あたり白骨になってますよ
戻りましょう 
今度はふたりにもみくちゃにされた
アー 僕言ったらすっきりした
とんでもないピクニックだったね ホホハ
ムグはまたうるうるの目になった
白骨になんて・・そんな・・我らが困るでしょ
ソルトさんはワハハハ ワウアウアといいようのないほど笑って
憂はおっかしいねっ おっかしなトリオだ まったく・・
みんなで手早く天才2輪の手入れをして 僕たちは 来た道を辿ってバンバン走った
嵐は来なかった

白骨にはならなかった
僕たち3人は 天才2輪で無事天才ベルテの家にやっと辿り着いた
ソルトさんはワハハハ ワウアウアとまた笑ってた
きのこハウスの外で待っててくれたベルテファミリーに
こちら憂君 こちらは天才ベルテ・・・ ワハハハ
もう どうにかしてくれないかな天才ベルテ
ソルトは笑いが止まらないらしいんだ ハハハホ
わたしまでも変だもの 憂君も何かいいなさいよお
僕 戻って来たよ
憂の一言で 更に笑いが起きた
天才ベルテは 連絡はもらってたものの3人の汚さがあまりにもおかしくて
ハハハー ローリーこの向こう見ずなトリオをバスタブに放つことにしようよ
まるで屋根裏の猫ちゃんじゃないかねー
デュウーだってあきれ顔だよ ね
それでもデュウーはしきりとしっぽを振っていた
それよりこのシャワーはどうー
ローリーは庭のシャワーを引っ張ってきて 本当に水をかけ始めた
わーつめたーい
デュウーだけはこの悪魔の洗礼を喜んでいた
着ていた物も本人とともにすっかりびしょ濡れになった
アハハ なんとも情けないモップたちだ ・・・
さあ今度は本洗いよ・・とローリーはバスルームへ3人を連れて行った
3人は無口のまま ボーボーしたまま本洗い行動を開始した
相変わらずソルトさんは笑ってたけどね
ベルテが入るよと言って 顔だけで 疲れてるんだからほどほどに
言ってくれなかったら みんな完全に伸びてるとこだった・・
やっとソルトさんの正気が戻ってきたようだ 笑いが止まってた
全身の洗濯を終えて バスルームが狂気の沙汰になったことにみんな気づいた
さあ 今度はここのお掃除よ パワーアップ!ハリーアップ!
そして彼は たった今 いい楽曲ができたわよ
フフフーンとメロディー・・・
後でムグさまの新曲発表がありまーす フフフーン
 


広間では 僕たちのためのローリーの暖かいできたてパンが待っていた
帰還を祝って 乾杯!
ローリーのガウンを着たムグは嬉しそうに
このガウンすっごくすてき どう似合ってる?<br>
のちほど これ着て新曲発表をいたすわ イメージ高まる でしょ
ソルトさんが ねえベルテの高級2輪はどうなった?
ぜーんぜん平気さ むしろ記録更新できたって喜んでるはずさ
それは おもしろい
ほんとはちょっぴり心配だったんだ なにろミニロボット内蔵だからさー
組み立てるのはそれなりに大変だったけど
調子悪くなるとすべてチェックし直しだからさ
ロボット工学のエリアになると 僕はノンプロ
でも良かったよ 自信持てたからさ

たった1日余りのショート旅行 あの街はなんだっただろう
しっかし あんなに近いとこにあの不思議パークがあるなんて
うん 思い出したくないけど 考えちゃうなー
ソルトさん なんであんなに笑いころげてたの?と僕は聞いた
それはあの時には判らなかったよ だから笑うしかなかったんだ
ワハハハ 実はお手上げ状態だったんだ あんなとこ見たことないし
分析結果では 信じたくないパニック状態に直面したからだ となっている
ソルトはおもしろい 冷静なんだかなんだか 
憂が白骨になるって感じたのも無理ないよ
あそこでアクシデントがおこったらどうなるか・・
やっぱり 白骨?
そうそう 方角も時間も未来も見えなくなるって そうとう怖いよ
なにしろ 自分が行方不明になっちゃうんだから・・・
やっぱり 無事の帰還を祝って 乾杯!
ローリーの作ってくれた暖っかいごちそうは テーブルからすっかり消えて
満腹と満足でまったり風が吹いている ってムグが歌った
なによりローリーの笑顔は美しい・・
僕は あの白い画像が揺らいで消えて行くのを待ってるように感じてた

しっかし あのレストランは不思議だったよ
お客は居ない 誰も居ない なのに食事できたんだから
看板は出てたし 営業はやってるし でも ただ暇なだけの店とは 何かが違うんだよ
ベルテは行ったことないんでしょ
うん 昔 そういう無人レストランが流行ってたらしいけど
なにもあのエリアで営業することないよなー
でもあそこになかったら 我らは白骨だよ
たぶん取り壊すも大変だから そのまま放置されてるんじゃないの
そのわりに店の中きれいだったよ
うん プログラムもセットされたままだろうからさ
”チンして出す”を繰り返す
そう ストックがあるうちはね そのうちエラー エラーって表示されるんだろうな
我らはラッキーで貴重な客だった ってわけざんすねえ
ごちそうさまでしたーだね
あのエリアはかなりの観光スポットだったらしいよ
世界中のブルジョアもちょっとしたリッチ家族もギャンブラーもマフィアも
絢爛豪華なマンションに滞在するのがステータスだった とか
世界追憶集にのってたよ・・とベルテ
世界遺産とは違うの?
線引きがあやふやだよね
大部分の人が好む美しいとされるのが世界遺産
歴史の落し物と見なされてしまうのが世界追憶集・・ってこと??
うーん かなー
僕はあの巨大ビル群全部に明かりが灯ってるのを想像した
たくさんのドラマがあったんだろう けど 考えるのはもうやめだ
結局 人間は創って 壊して また創って・・を繰り返す・・
世界はきまぐれだった・・とでも日記に書いておこう
このへんでチャンネルを変えよう
そうそう そろそろあの子来る頃なんだけど
あの子?
フフ 逢ったらわかるわ

初めて来たあの日のような 夕刻の光がキノコの森にすーと差し込んできた
いつの間にか デュウーがみんなの前でドテッとお腹を出して眠っているので
ごらんなされー このむじゃむじゃさん・・タイトルは”油断大敵・・” よいわいねー
デュウーは楽しいわ フフ たぶん無邪気の使者なのよ
”ワーッ” ソファーでウトウトしていたソルトさんが起きて フルルっと身震いした
”あーびっくりした”  こっちがびっくりするざんす 夢ですか・・?
あ ごめん ときょろきょろと周りを見渡して あー憂君 あーよかった
ベルテはニヤニヤしながら ”僕 大丈夫だよ”と僕の真似してみんなを笑わせた
あまり似てないざんすねえ ホホハ
表のチャペルがカララーンと鳴った
デュウーはピクッと寝とぼけ顔で半分起きあがった
あ 来たようよ
ローリー!ベルテさーん
気持ちの良すぎる無風時間に甘んじていた我らは 同時にパッキリと目を醒ました
おおきなリボンの ”オーロラ姫!”
やだー でもでも・・ ボンソワーまたお会いできて嬉しいです
ムグさんこの前はありがとう
あの日 クロスの交差点に集まってた人たちに喜んでもらえたんで
私 すっごく嬉しかったんです 私にもできる事あるんだなって
今日はそのお礼 でオレンジ風味のシュークリーム作ってみたの
あの日 ベルテさんに呼んでもらったから・・私ちょっとがんばっちゃった
ほんとうにありがとう
気持ちのいいひとだ それに
彼女はあの日より美人だ
あーら 憂どの なにうっとりしてるんざんす・・
バレましたか・・ヘヘ 僕は照れるしかない

     Dog

お茶にしましょ 何がいいかしら
あ わたしハーブティー持ってきましたよ
きっとおいしいと思うの
デュウーは肩に乗ってる子猫にとても興味があるらしい
食欲か友愛か・・
うろちょろしてベルテに叱られ すごすごとソファーに戻ってうそ寝をしてるようだ
もちろんシュークリームタイムはトレビアーン
そして
あのね聞いて 私 お菓子屋さんになるよ
何年後とかじゃなく もう申請しちゃったんだ
だから許可されたらすぐ そう すぐ始めるの
大賛成 彼女の意思決定と行動力にみんなは 拍手
友達からポンコツ車を譲ってもらったんでそれをお店にしちゃうんだ
移動お菓子屋さん
いいわねー 応援するわよ 何か手伝える?とローリーもベルテもみんなも同じだ
ムグがワタクシ 宣伝担当 そうだわコマーシャルソングつくりましょ
お店の名前はもう決めたの?
一緒にやる人はいるの?
彼女のこのプランで我らはそうとう元気になった
憂 看板は君がやるしかないでしょ
それからっと ベルテにそのポンコツ車のメンテナンス頼んでさ
ハイセンスなポンコツ車にしてもらうことにして
ローリーはマネージャーね
ソルト この人味にうるさいからチェックマンね
いろいろあるわね
お友達も巻き込んで
わー大変おもしろいざんすねえ
ムグの頭の中でお菓子屋さんがグルグルしてるようだ
それでね わたしルー・コリンっていうの
ルー・コリン!!
みんないっせいに叫んだ
なんてかわいい名前なの
”ルー・コリンのおいしいお菓子屋さん”
ルーは顔を赤くして あの ありがとう
わたしもそうしようかなって 考えてたんだ
いいでしょ それで
僕はちょっと複雑な気持ちでいた
同じくらいの年でお店やるなんて すごい
外はいつの間にか夜になっていた
今宵はここに泊まってって ディナーはベルテが準備してるのよ
はい そうさせてください なんかモチベーションあがっちゃって・・
帰るのもったいないんだもの・・嬉しい! どこでもコロッと寝れちゃいますから
ベルテーみんなもそうするんだってー オッケイだよーローリー
キッチンからいい匂いとシェフの声が運ばれた

Okashi

 

 

風は心地よく吹いている
申しぶんのないサイクリング日和
なのにどこを走っていても 浮き浮きしない
自分をさぼってるんだ たぶんね
今日という現実をちゃんとやってないからだ たぶんね
充実・・・ない・・だから満足も・・ない
毎日が楽し過ぎるなんて そうそうないのさ
楽しいピクニックはまた今度・・・
だらだら走ってないで 休もう あの木の下がよさそうだ
考えたほうがいいことと そうじゃないこと あるんだ
ノープラン ノーワイフさ
僕は木の下に腰をおろして 見上げた
でっかーい
光が
レースのカーテン・・が
さやさやした風が 言い寄って いいでしょいいでしょ
憂は
いつの間にか眠っていた

そうだ
僕は 思い出の水族館でイルカと手をつないだのだった・・
そのとき
マスカットの兵士がレースを透りぬけて
僕に向かって夜光虫の弾丸を放ち始めた
夜光虫の弾丸は はじけて散り散りに散って
星くずになった
星くずは猛然と容赦なく 僕に降りかかる
なんだよー やめろよー
掃ってもはらっても
星くずになった夜光虫は 僕をすっかり取り囲んでしまった
僕は星くずの中に埋もれてしまいそうだ
その光景は えもいえない美しさで きっと憂が創り出したえそらごと
ちかちか ちかちか ちか ちかちか ちかちか ちか
ロマンティックは ない
星くずも夜光虫も 光るしかないだろ
プログラムミスだから

WareraWarera2


マスカットの兵士たちはいつの間にか 体操選手みたいな着地をしてたんだ・
コピペのお揃いの美しいポーズでね
見とれている場合じゃなかった・・
いきなり僕を囲んで 約束しただろ と詰め寄ってきたからさ
訳が判らないまま 僕はとっさに
なーんだー 小粒ぶどうの兵隊じゃないかあーってぶっきらぼうに叫んでやったんだ
チガウマスカットダ ワレラ ハ マスカットダ 夜光虫さまのサポーター ダ
わ 判ったよ だ・だから なんなんだよ
って僕はなかばヤケクソで答えてやったのさ
と僕はマスカット兵士の話を憂にしながら おかしくなってオオゴエで笑った
そのトバッチリは 夢で逢いましょうの星くずをも驚かせてしまったらしい
悲鳴をあげながら 強引すぎる速さで四方八方へと拡散して 姿を消した
空の彼方をあのイルカが悠々と泳いでいた


憂は見つけた
僕はここにいた
憂はキャンバスに描きまくった
僕の無邪気を
憂のキャンバスで”約束”がみるみる蘇生されていく
僕は急速に僕の輪郭に近づいた

予告しよう
近く 君も僕も僕の未来に出会えるって事を

憂の視界の外では
風はいつでも次の季節を予告していた
冷たかった空気は
憂が旅を続けていた間も
景色を律儀に塗り変えていった
冬のなごり風の置き土産は どっさりの白い雪
翌朝
純白の大地はキララっとお返しをした
静かな1日
地中でも  きっと目だたないように
春のセレモニーの仕度をしてるんだろう
僕は そしてたくさんの絵を描いた
移動するのも時間がもったいない ・・・
むかし 電池で動く目覚まし時計があったらしいけど
日めくりのカレンダーとか
憧れるなー ・・手動
だいたい 昔のって発想がおもしろい
風が止まっていたので 憂は絵を描き続けていた

そろそろ・・と思ってると雨粒
クレイジーなことにならなきゃいいけど
雨の予告編の間に急いでテントを組み立てよう
夕陽は雨雲の陰に消えて
地味な宵の始まり
ラッキーなことに
あれからマスカット兵士たちは出没しない
このでっかい木の下はすっかり平穏だった
それにこのちいさな万能テントの中は快適だ
コーヒーは 旨い
静かな雨音 久々にゆったり気分
荷物からスケッチブックを引っ張り出して
ペラペラと見始めた
ノートに紙切れがはさんであった
覚えてないなー・・

  Yuu01bb

不思議なことはいっぱいある
ベルテやムグさんたちと出会ったことも
たまたまとか・・偶然・・運命とかいう抽象的なことではないよな
きっと しくみがあるんだ
今日の僕は少しはましかも
憂はノートに楕円をひとつ描いた
その上に斜めに楕円を描いた
うまく描けないなー
地球は丸い・・形状としてはそうだろうけど
青色の楕円 オレンジ色 赤 と描き足しながら
楕円というよりループだな・・・
だから すべてが輪になってるわけじゃないのかも
4次元だの5次元だの・6次元・・ピタゴラスさま ・・
こーんなフラフープみたいな時空のチューブが無数にあって
アクセスポイントと言うかプラットホームは次元の交差点
違う時空に簡単に行けちゃうわけさ
ここからここへ・・と憂はグリーンのペンで軌跡を描いていった
次々行ってもいいが・・
プラットホームの少ないチューブもありそうだ
戻るには・・どうするんだ?
これではすぐには戻れない
時間という時空の力を借りれば大丈夫なのか・・
スピード
あの時 マスカット兵士たちは無意識という時空で暴れていた
あれを”夢”と言いきれるのかな・・・・
アクセスポイントを間違えてココに来てしまった だけかも
あーー 判らん
それに僕がいつでも同じポジションにいる・・のは何故だ
それとも 錯覚

あっ あの子 ・・?
スケッチブックの中に
そうだった 憂はあてのない記憶をたどった
あの女の子は 僕たちの時空の近くのドーナツにいて・・
もしかしたら
ニアミス・・・・・
プラットホームが違うとか・・・・
漠然とでは・・・だめだ いつものどうどう巡りさ
こうなるとベルテ式仮説が必要なんだよ
静かな雨のせいか 憂は日常からアナザーへ

万華鏡の中に迷い込んだあの子 


                 Ams10y

  アマーレット! お食事はしたのー

ママー


彼女は水槽の中で 生まれて・・・
アクアミュージアムで育った

XYO175星にいる間
地球に順応するため
宇宙に適応するための
実験的な研究に貢献したらしいけど・・
よくは知らない
重要な事は
あの憂鬱なカプセルからの脱出
まったくの奇跡かも

ある時
キープしておいた記憶が盗まれてた
うかつ・・・・
誰のしわざか・・知ってるけど もうどうでもいい
いつも 誰かに観察されてることに気づいた時
わたしは誰なの・・?
奇跡の脱出を決心 チャレンジしかない
地球の人たちと交信してたことは
監視人には絶対にわからない
彼らの死角のポジションにストックしたから
それに監視人たちは怠惰な時間つぶしをやっていた
研究のテーマがあやふやになっていた
地球に向かおう
・・・・
それからは
自分が毎日更新されていく気がした
パネルのサークルも 関係ないね
でもいつもとまったく同じにしていよう
パネルだけじゃなくって 疑問はいっぱいある
あまりにもリアリティーがないんだもの
自分の存在ですら・・私は存在してないのかもしれない>
と ひどく不安を感じる日
わたしは眠る 夢を見るために 眠る
そうして
見たんだ わたしが地球に戻って行くのを・・・・
ここを脱出するには
肉体のさらなる試練も覚悟しなくては
メンテナンスが重要・・そう リベンジ
ここはあまりにも アンビリーバブル・・・
完璧さを目指してつくられた劇場
フフ ヒロインは私
観客は ほぼ居ないけど
セットされたプログラム
実行者はティーチャー・パネル
この支配する者をリセットできれば・・
未来に行くことができる
今から始まるドラマに必要なのは
積み重ねて長ーい時間をかけた研究の再チェックと
幸運を呼ぶおまじない・・・
キーワードは タイミング・・・
毎日をいつもどおりに・・その日まで

あの日
わたしを飼育してきた学者が話しているのを聞いてしまった
・・パパ・・
うすうす分かってきたことだったけど 悲しかった
私はアマーレットじゃなく番号で呼ばれていた
勿論 彼もママもここにはいない
ヒロインは・・決めた
数人残ってるアシスタントのひとりが 地球に戻る
その日までに
全ての準備を終えよう
スリリングなツアーになるだろう
地球に着いたら つくるんだ


宇宙には地球の他にも生命体はいた
このことは誰もが知っていた・・・が
地球人復活・・・・・
人たちは自分自身に期待することを思い出した
時代が放置したものの説明をしなくてはいけない と長老は言う
完成を見ずして滅びた何千年も前の文明のように
たとえば 実験的な人工惑星は国の数以上創られたが
未来を夢見た学者の苦悩も 大衆の期待と希望も 突然のように
時代は そもそも われらの潜在意識が作り出しているんだが・・・


   アマーレット  奇跡の脱出 エスケイプ!


Box20w

      

ここはたとえようもない迷路
ここはたとえようもない困惑の世界
未知数でできたとんでもなく大きな洞穴
息苦しい・・
この圧迫感は 何?
アマーレットに迫ってくるもの
アマーレットは恐怖心をはじめて感じた  理解した
よく分からないけど・・早く脱出しなきゃ 息苦しい・・
わたしは あせっている そして ますます圧迫されてきてる気がする
わたしは 混乱している まずい!
思考が何かに破壊されそう・・・
ようするに これがパニック状態?
どうしたらいいの?
ワアー とおもいっきり叫んだ声がどこかに吸い込まれていった
  ・・・
もしかしたらブラックホール?
疑問符がどんどん増幅していく
鼓動も倍増・・
細胞が破裂しちゃうよー
ひとごとだと思いたい映画だと思いたい
でもアマーレットは 現実をなんとかするには
おたおたしている場合じゃない
おおげさね わたし
ニュートラルでいかなきゃ
と 百倍の客観性と利にかなった想像力と集中力をなんとかしようと必死だった
ここは行き止まりのスポットじゃないの?と怖がっているアマーレット
早く ここから出たい とあせっているアマーレット
出口は入り口かもしれない と簡単に考えようとしているアマーレット
だとしたら簡単じゃなーい・・辿ればいいわけだし と更に無理しているアマーレット
少しは冷静になってきた
息苦しさは・・忘れた
どこで間違ったんだろう
ちょっと 待って パスワードがあるはず
わたし ここに来る前何処にいたかというと
アマーレットは自分のアクション履歴をチェックした
そうだ あの交差点からがおかしかったんだ
いきなり時空がねじれてるというか 放り出された・・・
あそこに戻るには・・・またあのねじれ空間を通過しなきゃだめなのかなー
フー でもいいや 急いでそうしてみよう
アマーレットはパスワードを探すため また履歴シートをチェックしてみた
あっ 汚れてる なーんだ そうか汚れるんだ
無菌状態のカプセルにいたんで思いつかなかった フー
どうかな 使えるかな やってみよう
これで たぶんここからは脱出できるかも
で行き先を何処にするかというと
あの交差点 あそこにしてみよう
リアルな設定をしないとまた迷い子になっちゃうからさ
クールになるって重要ね
どうやらアマーレットはパスワードを探し当てたようだ
ペンダント オッケイ
とにかく早く出よう
たった今の課題は ・エスケイプ・

 確実な存在じゃない自分
 あやふや過ぎる自分
 ほんとは あせってる
 だって・・・とアマーレットは思う
 ここは地球内なの・・??
 そうだっ
 このさい S O Sの発信もあり・・??

        ・・・ S O S ・・・S O S・・・S O S・・・コチラ アマーレット・・・S O S・・・S O S・・・

危険なんて考えない いいんだ あそこの連中がわたしを探すわけないもの・・
短時間 S O S を発信してみたアマーレットだったが 自力でエスケイプさ
パスワードは慎重にしないと無効になりかねないからさ
クールに 冷静に 今までのアマーレットにはないモードだった
パスワードの設定がうまくいったのか・・・S O S・・・効果を待つまでもなかった
いきなり別世界に放り出された
体がぐるぐるぐるぐる回転して 思わずワアーアーと叫んだ
壊れちゃうよー

                          Ams20s

ママー
一瞬 毎日のできごと ママとの会話 パパの顔 パネルのお友達 が
スライドショーのように アマーレットの・・・
このめちゃくちゃな状態の中でもアマーレットの意識はきちんと存在していたが
ボディーエネルギーがどんどん消耗していく

夢ならいいのに アマーレットはどこかを彷徨っている
わたしはもう居ないのかもしれない

アマーレットちゃーん こっちを向いてよー 一緒に写真撮りましょ
まあかわいいって・・・ たくさんの人が見に来て 喜んでる・・
そう あの日 また逢おうねって 男の子が首飾りくれたんだ すっごく嬉しかった
・・・それに 子供たち うらやましかったな 人間って自由・・・

実験的生命体・・あの研究者たちが作り出して そうして育てた それが私なんだ

いつの間にかわたしはオトナになってた 不可解なこと あり過ぎ

埋もれるよー

 


 アマーレットが放り込まれたのは 実はアマーレット自身の内なる迷宮だった

 


憂はいきなり自転車に飛び乗って走り出した
判らない 行かなきゃ
でも憂はあそこに行こうと決めていた
根拠は 直感のみ 直感は疑わないのがルールだ
ベルテに作ってもらったナビチビ・・・
ナビチビからこちらの情報も送れるようになってた
失くさないように自転車にセットしてある
ベルテが僕のためにそうしてくれたんだ
憂は絵を描くこと以外は ぼんやりしてるからなー
僕はベルテに伝えた
クロスに向かう 今すぐ 急ぐんだ あの子が大変なんだ
・・・S O S・・・を発信していた
助けてあげたい
方法は 今から考える ベルテも考えて
僕はこの前考えてたことをまた考えてみた
万華鏡なんてメルヘンな世界じゃないんだ
ねじれた時空の奥の 次元のない不可解なスポット
恐怖を生む場所
大丈夫 今行くからねーといいながら どうやったら行けるのだろう

アマーレットの発信したS O S は届いていた

クロスの広場にはムグもソルトさんも ベルテはデュウーと一緒だった
やあ憂! 後でローリーも来るよ
デュウーはそわそわと落ち着かないらしい
”この衣装でよかったかしら・・なにしろ歓迎の意思表示のつもりなのよー”
いつでも究極の楽天家だね いいことだ しっかし派手だなー とソルトさんは笑っていた
で どうするかなーなんだけど
僕は笑われるのを覚悟で言った あのさ テレパシーを送るんだ
みんなの反応は同じ ”エーッ テレパシー??”
だって ほかに考えつかないんだ
驚いているところにローリーが男の人とやって来た
ハーイ憂 元気そうね・・ エーッ テレパシー? うふふ でもそれ意外といいかもよ
わしはアリババ・ン・ゲハルじゃ この得体の知れない問題はーじゃな
ようは そのアマーレットちゃんの発信元が 内なるものの内 という気がするんじゃ
旅から戻ってきたばかりのアリババさんは 世俗的じゃない雰囲気だ
ベルテから連絡があってな 何故か気になって 急いで戻って来たんじゃ
憂殿はアマーレットのS O Sを 知ったのではなく感じたんじゃないんだろか とね
それが鍵なんじゃよ
そうさ 憂のメッセージをもらった時に疑問がわいたのさ
だからアリババに連絡してみたんだ メカとかは得意だけどさ・・とベルテ
テレパシーを送るってえやつをやってみようじゃないか
不可解なスポットから彼女を救い出そう
いちかばちかだ
これだけのオトナが揃ってるんだものお きっとうまく届くざんす 心から念じるざんす
私も念じていい? ルー・コリン!! お友達も一緒なの 人数いたほうがいいかなって・・
今から僕たちはアマーレットに近づいていく ドアを開けて・・
僕は赤いウクレッタをムグに渡した
ソルトさんはチェロの弦を合わせて軽く音を出した

 風に乗って ここにおいで
 君の居場所は ここにあるよ
 アマーレット ここにおいで
 アマーレット 隠れてないで
 すぐに来て アマーレット
 君の居場所は ここだよ
  いっしょに 歌おうよ

静かな優しいメロディー
僕はスケッチブックにアマーレットにあげるための絵を描き始めた
 どうしてもそうしたかった

  届いて欲しかった

Hiroba2yy


                   Baby

満月に火星が近づいて いつもと違う夜 ベルテ家の庭では みんなで空を見ていた
”ママー”
まあ アマーレット起きちゃったのね あららデュウーも一緒
見てごらん お月さまたちきれいだよ 見えるかなー
お月さまがお星さまとならんでるー
お月さまおおきいねー
あれから ベルテとローリーに 女の赤ちゃんが生まれた

僕は遠く離れた小さな島にしばらく住んでいたけど
水没するかもしれないというので 大陸に戻る準備をしていた
いつも笛を持ってるアレンがやって来て
 憂ー あのね 僕たち引っ越すんだよ 明日
 そうか 何処に・・?
 パパがね ディナーに来てって あのね 最後だからさ・・
アレンはもじもじしてたけど鼻を赤くして泣きそうになってた
そして ポケットから赤いちいさな石を出した
あのね これね 透けてるんだ 宇宙が見えるんだ だから・・あげる
僕はアレンが だい好きだ
この島の人たちはあけっぴろげで そしてよく笑う
アレンは子供だからかわからないけど シャイだ とてもね
水溜りのせいで細くなってしまった道路を アレンと一緒に彼の家にでかけた
あのさアレン 何処にいても僕と友達でいてくれる?
それに アレンの宇宙の石いつでも持ってるよ
アレンの大きな黒い瞳から涙がポロッとこぼれた
 憂 約束だよ きっとだよー
彼も僕も元気になって歌いながら走った
アレンの家はせいいっぱいの灯りがともされて華やかだった
 わあーきれいだ
 うん 朝からみんなで用意したんだよ
 あっ 月出てる
彼の瞳にふたつの月が写ってた
 月 みっつ見つけたよ・・見つけちゃった 憂のと 空のと みっつ
 じゃあ いつつだ アレンのと 空のと 僕のと
 ワーイ いつつ いつつー
走っていたんで ふたりのいくつもの月が涙にくっついてこぼれ落ちた

陽気でくったくのない島の人たちは何処にいても きっと楽しくやってくんだろうな・・
”海亀が島を守ってくれてたんだけどなー”
”しょうがないんさ 島がなくっちゃ 卵産めんからな”
地球にも事情があるんさ・・ そりゃ知らんかった ワハハハ・・

Areng200b

時間は僕たちに優しくしてくれる

あの時 彼女は忽然と現れた
否妻が光ったかと思うと キラキラの輝きを置いて去った
小さな小さなアマーレット
僕たちは地球に戻ってきたアマーレットに出会えた
僕 憂だよ
みんなが見守る中
ぐったりとしてたアマーレットは
かすかに やっと逢えた と言って フウーと見えなくなった
ここに居たのに・・
抱きとめた感触は まだ残っていた
僕たちは待った 彼女が再び姿を見せてくれるのを
アマーレットのボディエネルギーは もうぎりぎりだったんだ
そうして僕たちのパワーは苦悩した
僕はアマーレットの眼差しが忘れられない
嬉しそうに 笑って
なにか言いいかけた・・
たぶん 僕の瞳にアマーレット本人が映ってたから
  幻・・じゃ なかった わたしが居る




お帰りなさい 憂
ヤア いいにおいだなあー 潮の匂いだ それに逞しくなったんじゃないかな
ベルテは僕の肩をがっしと掴んだ
何年か振りなのがうそのようでもあり こんなに懐かしくも感じるんだから
・・不思議さ とにかくどうあっても 嬉しいよ
僕も同じ気持ち・・
あーら ふたりで いいわねえ
後でアマーレットに会ってよね 大きくなったんだから
黄色いハンモックがひとつ増えてた
そうそう あそこでデュウーと仲良くお昼寝してるわ
デュウーったら私たちになんか興味なーいって素振りなのよ
自分の兄弟だと思ってるんだよ
ムグがね 楽器いっぱい積んでどこかに行っちゃったんだ
エーッ
ワタクシ 最近音楽センスに限界を感じるざんす なんて言い出して
でも 憂君のようにはできないざんす すぐに戻るざんす だって
ムグさん 何処にいるのかなー
フフ 憂おっかしい 自分は放浪ばっかりしてるのに
いいのさ こんな時代がずーっと続くかはわからないんだし
僕たちだって 結局は好きなスタイルで生きてるんだから
今宵泊まっていくだろ なんならずーと居ていいんだけど・・
なんなら交代してもいいんだけど・・じゃないのー
おいおい
ローリーはママになったせいか なにかがバージョンアップされてた
でも ふたりは相変わらずの仲良しだ
それに ベルテのコーヒーは  今日もおいしかった
ソルトさんが彼女を連れて アリババさんはエーと言うくらいの変身っぷりで入ってきた
でも僕はアリババさんの顔ばかり見てたらしい
憂殿 今は変化を楽しむことにしてるんだよ デンジェラス欠乏症・・
何故なら・・
と言いかけたけど
変化し過ぎだよ まったく誰か判らないくらいの時あるんだから とソルトさん
あっ それより彼女 僕の彼女・・ハンナ ねっ
もー ソルトったら・・憂さんよろしくね ハンナです
ハンナの声は以外な感じで ビオラのようだ
ハンナはね バイオリン弾くんだ それでね・・・
いずれは 室内楽ファミリーってわけさ とアリババさん
コスモスみたいですね と僕は言いそびれた

                           Hanna2

憂殿 アリババがはなし始めた
どうしてアマーレットと名付けたと思う?
わたしに説明させて ね
あの時のこと・・つらかった でしょ みんな
でもさ それプラス考えさせられたって気がしたの
あの子 憂の顔をじーっと見てた そして嬉しそうに笑ったでしょ
忘れられない
だってさ 欲しかったのはなんだったの?
僕は 自分の存在を確認をしたかったんだと 最近になって思うんだ
彼女にはリアリティーのない孤独な時間の連続しかなかった
夢の中にいるような感覚?
ずーっとひとりぽっちだったんだよ
自分の存在の確認かー
人間なら 家族とか仲間とかが鏡の役割やってくれるから
迷子になっても大丈夫 って楽観的にしてられる
あの子の迷宮は自分の内なるスポットにあったんだ
そうして彼女は憔悴してしまった
露骨に言っちゃうと 人間のエゴイズム
研究者だって苦悩してただろうけどさ
ひどいボディーだったかわいそうに・・
それなのに キラキラとかわいい目をしてた
わたしたちすごく考えたの 
彼女はちゃんと生きられなかったわけでしょ
うちのアマーレットにどうのというんじゃなくって
何故かあのあと アマーレットが誕生したでしょ・・
偶然のなにかがふたつ揃っただけなんだろうけれど
やっぱり 忘れたくなかった
もしあの子アマーレットが勇気とか直感とか夢とか知恵を持っていなかったら
実験カプセルの中に ずーっといたでしょうね
学者が考えていたより はるかに思考能力が高かったんじゃないかなー
思考が息をしてたんだよ
アマーレットは予知したのかもしれないね
そしてむしょうに憂君に逢いたかった
アマーレットがしていたペンダント あれは憂があげたんじゃないの・・
うん たぶんそう
すっかり忘れてたんだ だって幼稚園の時くらいかな・・
あれ かあさんのなんだ
この前 島でさアレンって男の子に赤い石もらったんだけど
その時急にいろんな記憶が蘇ったようなんだ
卒業記念に水族館に行っ時のことまで思い出しちゃって
その時も なにかを思い出せそうで・・できなかった・・
それが もしかしたらアマーレット
思い出したいのに 思い出せないってあるよね
そうそう 記憶を辿ってると”ここから先迷路”って看板あるんだ
わー でもそうかも
だから無理に思い出さなくていいのさ
ワシは アマーレットがふいにやって来るような・・望みを感じているんだ
うん だったら いいよね ねデュウー
眠るのに飽きたらしい おとなの会合にデュウーが付き合ってた・・
ピッザでも焼こうか
もう準備してあるわ そう言うと思って
トッピングはベルテがやるでしょ よろしくねー
オッケイだー
寝そべってたデュウーがいきなりキッチンに消えたものだから
ハンナが コック長は俺さまだ って感じね
だってあーんなにいそいそと歩くんだもの
フフ ただの食いしん坊さんなのよ

               Pizza

 

 

    Omoide2

   いい天気
 わたしが 最近発見したニュース

 人間の人類的潜在的な特技がますます再評価されてること

 いいでしょう 感覚・・味覚とか臭覚とか 表現とか 音楽とか
 どこかへ出かけて行って景色を眺める・・とか
 ワアーきれい と言って喜びを表現する とか
 感動に対しての欲望
 希望を持つ喜びとか
 創るとか 作るとか
 遊ぶとか・・
 喜びを共有できることが喜びだったり
 単独では人類としては生存できないと決めてることとか


それからね ビッグニュース ウフ 同じジャンルの子と知り合ったこと ・・・・


         つづく

 

 

 

 

 

NEXT ・・ Comming Soon

 


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コメント

リズムがとても心地よいですね。
音楽みたい。或はダンス。

中々の力作。
>リズムがとても心地よいですね。^^/

そうだな、こんな暮らしもいいな。
アメショウ・うちの、猫のようにも見えました。catmusicnotes

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